(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4271)
質問をもらったのですが、「アドレス表示不表示」のため、発信者不明で、直接返信することができませんので、このブログで回答します。
質問は、「HA・完全攻略ガイド 巻末の練習問題・「輸入申告書 記-8」(808P)の解釈についてでした。
【テキスト・設問記述】
「8.輸入者(買手)は、仕入書の5番目の商品の生産に使用する原料の一部を買手と特殊関係にない韓国に所在するP社からUS$500.00(送料込み)にて購入し、輸出者(売手)に無償で供給するが、不良品を避けるため、P社から取得する前に、韓国に所在する検査機関にP社でのその原料の検査を依頼し、その検査に係る費用US$100.00を支払っている。
【テキスト・解説】
仕入書価格に含まれる費用等ー無償提供した原料の費用(US$500.00)とその原料の検査費用(US$100.00)は現実支払い価格を構成する費用であるので、共に加算する。ただし、仕入書の5番目の商品にのみ使用される原料であるため、仕入書5番目の商品にのみ加算する。
【感想意見】
最近の試験問題の特徴の一つとも言えるかと思いますが、”回答者の”読解・判断能力”を問う問題構成です。課税価格の決定に係る複数の要件を組合わせて、回答者の判断の”ブレ”を誘うための意図的な記述です。
ポイントは「輸入取引きの輸入貨物に買手によって無償で供与された、輸入貨物に組込まれた原材料」に、「買手による検査費用」が、あえて付加されています。
☆
「輸入取引きの輸入貨物に買手によって無償で供与された輸入貨物に組込まれた原材料に係る費用」は、特殊関係に無い相手からの場合は”その取得費用”とする規定ですから、当然にその原材料の検査費用も「無償供与原材料の取得費用の一部となり加算要素」になります。
(※)
ここに、「その検査を検査機関に依頼した費用(US$100.00)の内容をもってきたのは、問題作成者の意図的なもので、”買手都合による検査費用”との判断で、回答者の解釈の思考スクランブルを狙うものであり、関税定率法第4条での(検査費用)の解釈はこの場合、無関係=考慮すべき必要性がない要件となります。
必要とされることは、あくまでも「迅速・適正、沈着・冷静な”読解力”」で、(課税価格の決定方法)の規定の中に記述される”語句”のみに短絡的にとらわれず、記述の”実態解釈”の一言に尽きます。
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木