(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4212)
前号よりアップしている『特恵関税・原産地認定基準ー「実質的な変更を加える加工又は製造」は、関税法等科目の中で出題されているのではなく、「通関実務問題ー(その他の問題)の五肢選択肢問題として出題されているのが近年での特徴です。
『特恵関税 原産地基準・(実質的な変更を加える加工又は製造)』ですが、他方で出題のある、EPA(経済連携協定)の各EPAごとに異なる「EPAー原産地基準」のベースとなる基本的な基準のベースとなる規定です。
【問 題】ー(2014年、2015年通関士試験出題)
「A国で収穫された関税率表第8類に属する果実を原料として特恵受益国等であるB国で生産された同表第20.09項に属する当該果実のジュースは、B国の現産品である」
【解 答】
× 誤り 設問は誤った記述である。
【解 説】
A国で収穫された原料を使用し、特恵受益国等であるB国でその原料に実質的な変更を加える一定の加工又は製造により生産された物品については、B国の現産品とみなすと規定されている。ここで設問の収穫された原料は関税率表第8類(食用の果実及びナット、かんきつ類等)に分類される果実であり、生産されたジュースは第20類(野菜、果実、ナットその他植物の部分の調製品)に分類されることから、原料が該当する同表の項と生産されたジュースが該当する同表の項が異なるので、「実質的な変更を加える加工又は製造」に該当することになる。
しかし、設問の関税率表20.09項に属する果実のジュースについては、関税暫定措置法施行規則別表に特別な規定があり、「第7類、第8類又は第20類に該当する物品以外の物品からの製造」でなければそのジュースについてその特恵関税、つまりB国の現産品とされないとの規定がされている。
そこで、設問の関税率表第20.09項に属するジュースについては第8類の原料を使用した場合は特恵現産品と認められないことになるが、道標(備考ー3)に、「この表の下欄において定率基準以外の条件は、中欄に掲げる物品の生産に使用される原料又は材料のうち現産品については適用されない」とあるので、B国で収穫された第8類に分類される原料を使用していれば、関税率表第20.09項に属するジュースがB国で生産された場合にはB国の現産品となる。
したがって、設問の記述である「A国で収穫された第8類に分類される果実を原料を使ってA国で製造されたジュースは、B国の現産品とは認められず”設問の記述は誤っている”」
(関税暫定措置法施行令第26条第1項第2号、同法施行規則第9条、同法施行規則別表ー20.09)
(解説文抜粋:2017ー通関士過去問題集2017 笠原純一 氏 ヒューマンアカデミー)
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