『キャッシュレス社会で米国の先を行くインド・・・』
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4081)
10年前のインドは大きな問題を抱えていた。国民の半数近くが”何の身分証明書も持っていなかった”のだ。
病院や行政サービスの無い村で生まれれば、出生証明書を得られない。自分の身元を証明できなければ、銀行口座も開けず、融資を受けられず、保険にも入れない。社会の陰で暮らし、納税もしない非公式経済に属する運命にあるのだ。
『国民11億人を管理』
インド政府は2009年、この問題を解決する大型プロジェクト「アドハー」を発足させた。個人の指紋や網膜のスキャンに基づいて全ての国民にデジタルIDを付与するこのプロジェクトは、2016年の時点で11億人に12桁のID番号を発行している。これは世界最大かつ最も成功したIT(情報技術)プロジェクトであり、デジタル経済の土台となっている。
インド政府の課題は、全ての国民に銀行口座を与える事だった。政府は11の事業体に対し、預金は可能だが貸出しはできない決済銀行の設立を承認。各行は国民に口座開設を促すために、無料の生命保険が付いた口座を提供し、社会福祉給付がこの口座に振り込まれるようにした。決済銀行の設立から3年足らずで口座数は2億7000万を超え、預金額は100億ドルに達した。
政府はさらに、アドハー番号など単一の識別子に基づいて銀行同士が直接決済できるシステム「総合決済インターフェイス(UPI)」をスタートした。
例えば、クレジットカードの支払いプロセスについて考えてみよう。買い物客が店舗でクレジットカードを出すと、店員は客のサインを確認し、ビザやアメックス、マスターカードなど請求書を処理するカード会社にカード情報を送る。各社は送金・受取り銀行と提携しており、補完銀行や清算機関の役割を担う。このサービスの対価として店舗に決済額の2~3の手数料を課し、これが顧客に間接的に転嫁される税となる。
だが、UPIのようなシステムを使えば、請求書を処理する会社は不要になり、決済コストはゼロに近づく。携帯電話と個人のID番号がクレジットカードに代わる認証要素になるからだ。 無料のアプリをダウンロードして自分のID番号と銀行の暗証番号を入力するだけで、
すぐにどの銀行にも送金できるようになる。
米国でのUPI利用を妨げる技術的障害はない。送金は数秒で実行され、仮想通貨=「ビット・コイン」の10分よりも短時間で済む。
(記事:日本経済新聞 VB 2017/01/27)
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う~ん・・・、理解できるようで理解できない。という気持ちと、インドは、”IT産業先進国”という事実は認識済みながら、インドの国全体として、「インドが米国を超えるキャッシュ・レス化」という到達現実に正直、戸惑っています・・・。もう少し、その内容詳細を見てみましょう、次号に継続。
Blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木