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『なぜ「バター不足」が繰り返されるのか?』-牛乳の「計画経済」が輸入を制限しているー
(本間正義教授・東京大学農学部生命科学研科・プレジデント編集部ーBLOGS 2015/07/29)
「バター不足」が続いている。不足しているなら、輸入すればいいと思うかもしれない。しかし日本は酪農家を保護するという名目で、バターの輸入を制限している。解決のためには、
”日本の農業のあり方”を根本から問い直す必要がある。
バターの国内消費量はこの数年7万~8万トンで安定している。一方、国内生産は減少傾向で2014年度は6.1万トンに落ち込んだ。
不足分は輸入に頼るしかないが、関税が高く、政府の国家貿易品になっている、
乳製品の関税率(二次税率)は、重量税と従価税の組合せとなっている(従価/従量税)。従価税率換算では、
バター:360%、脱脂粉乳:218%で、フレッシュチーズの29.8%、プロセスチーズの40%に比べても”一桁違う”非常に高い。店頭で輸入のバターを見かけないのはこのためだ。
なぜ、国産バターが保護されているのか?それは
輸入品の価格が国産バターの3分の1と安く、品質での差別化は困難だからだ。
一昨年の7月末にハワイで開かれた12ヶ国の閣僚会議では、乳製品の関税率引下げの攻防があった。ニュージランドの製品の価格競争力が市場を圧巻することへの警戒にある。
このため一部では「TPP参加で日本の酪農が壊滅し、国産牛乳が飲めなくなる」との主張もある。しかし、これは誤りだ。飲用向けのフレッシュミルクは劣化しやすく、海外から大量に輸入するのは難しい。またバターに関しても、チーズと同じく、特色のある国産品への需要はあるだろう。(※)、多くの実例において、それを求めるのは、国内の消費者以上に”海外での消費者”が日本製品への期待を寄せているのである。
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問題は、競争と成長を退け、保護と現状維持ばかりを志向する日本の農業政策そのものにある。 実際に国内の酪農家はここ10年で35%減少し、牛乳生産も12%減っている。TPPと無関係に、すでに日本の酪農は衰退に瀕している。「バター不足』はその現象の一つに過ぎない。
(次号に継続~)
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木