(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (3140)
【182 金型を有償輸出した際に、輸出運賃等を買手が負担した場合】
(質問)
本邦の買手Bは、売手Sと売買契約を結び、電気製品を輸入(購入)することとしました。売買契約には、生産のために使用する金型を、買手が本邦の金型製作者から調達し、売手に販売すること、金型の輸出に係る運賃等は買手が負担することとされています。
この度、買手は売手に金型を(100)で販売し、輸出に係る海上運賃等(10)を負担しました。
この場合、買手が負担した金型の輸出に係る運賃等(10)は、輸入貨物の課税価格に算入されますか?
(答え)
輸入貨物の課税価格は、「現実支払価格】にその含まれていない限度において「加算要素」の額を加えた価格(取引価格)によることを原則としており、買手により無償で又は値引きをして、直接または間接に提供された当該輸入貨物の生産のために使用された工具、鋳型等の費用は、「加算要素」の一つとされます。
本事例の場合、輸入貨物の生産に使用される金型は、買手から売手に対して、有償(100)で販売され、その輸出に係る海上運賃(10)を買手が負担したとのことですので、現実支払価格(仕入書価格)に金型の価格(100)は含まれていますが、買手が負担した金型の輸出に係る運賃等(10)は含まれていないことになります。
すなわち、金型は有償で売手に提供されていますが、提供に要した運賃等を買手が負担していますので、「値引きをして提供された」場合に該当し、「値引きされた額」である「提供に要した運賃等の額」が加算要素となります。
したがって、買手が負担した金型の輸出に係る運賃等(10)は、輸入貨物の課税価格に加算されます。
《ポイント》
工具等を買手が、売手に有償で提供した場合であっても、提供に要した運送費用、保険料等を買手が負担している場合には、
「値引きして提供された」ことになる。
(関係法令通達)
関税定率法第4条第1項第3号ロ、関税定率法施行令第1条の5第2項、関税定率法基本通達4-12
(記事出所:関税評価303 改訂7版 No.182 日本関税協会)
by Gewerbe 「貿易ともだち」 k・佐々木