(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (3078)
パリ、ブリュッセルと続く連続自爆テロ攻撃を引き起こした「IS(イスラム国))は、欧州でのキリスト教(カトリック)とイスラム教(スンニ派)間における宗教対立であるから、宣伝効果の少ない日本にリスクを負ってまで出かけては来ない」と、楽観視をする意見も聞かれます。確かに、表向きの主義主張は、西欧キリスト教に対する「イスラム原理主義」の対立を看板に掲げてはいますが、「IS」の実態はまったく異なります。その実態を見誤ると、テロ攻撃への対策を誤ります。
「ユダヤ教」⇒「キリスト教」⇒「イスラム教」と順番に誕生してきた(ヤハウェ)を仰ぐ一神教の”兄弟宗教であり、今日、激しく対立するキリスト教とイスラム教は父であるユダヤ教から誕生した、兄と弟の関係であり、全ての宗教を受け入れる我々日本人からするとその対立を理解することは不可能です。
『十字軍遠征』
11世紀の初め、トルコのイスラム王朝であるセルジューク朝にアナトリア半島を奪われた東ローマ皇帝は、ローマ教皇に救援を依頼し、大義名分として「聖地エルサレムの奪還」として、11世紀~13世紀での200年間で9回の十字軍を派遣しました。現在のイスラム国(IS)が表向きに掲げているのは、この十字軍による暴挙の報復であり、東ローマ時代の領地への(イスラム国の創設)です。
「イスラム国(IS)」は、アルカイダの「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」から独立した過激テロ集団で、自らはイスラム国を名乗っていますが、イスラム国という国は存在しません。イスラム原理主義を規範として統治される政府と社会の実現を目指す政治的組織で、アルカイダと同じくイスラム教・スンニ派を主体とする国際的なネットワークであり、「ジハード(聖なる闘い)」を掲げています。
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以上は、建前的なイスラム国(IS)の持論であり、その実態はまったくに異なります。自爆テロを代表とするISのテロ攻撃の要因は、英国→米国と近年の国際社会を主導してきた欧米キリスト教社会に対する若者の閉塞感・諦め・怒り・失望の行き場を失った虚無感の反動です。これは、我が国においての「オーム真理教」のテロ攻撃(サリン事件)と同様の要因によります。
現社会を戦後リードしてきた米国自体も同様で、大統領選挙でのトランプ氏の人気・躍進は、我が国のオーム真理教やイスラム国(IS)に走る若者と同様な内容があるのではないでしょうか?
つまり、「宗教対立」は建前に過ぎず、まさに「G7=資本主義経済先進国」が攻撃対象であり、戦後、欧米政経に追従してきた日本も標的であることに違いありません。
「イスラム国(IS)」は、
「この社会を一度、リセットして欲しい」とする若者の自暴的な行動パターンであり、伊勢志摩サミットでのテロ攻撃の可能性は、特別に中東からの遠征攻撃ばかりでなく、アジアからや日本内部からの「ISテロ攻撃」も、当然に想定できるのです・・。
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通関業務や船舶代理店業務に係る人達は、「輸出国出港24時間前ルール」での貿易における国際テロ攻撃の脅威は充分に理解済みだと思いますが、”貿易における国際テロの脅威”は再度、取り上げてみたいと思っています。
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木