(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (3060)
以前、このブログで「住吉大社の(おみくじ)は、ネパールで製造し輸入されているもの」という記事をアップしました。コストダウンと安価な人件費を求めて海外製造・調達へ大きく舵を切ってきた時代が再考されるべき時点に立ち入っているとも思えます。
『どこからが日本の伝統工藝か?』
売る人が日本人なら「日本の伝統工芸品」なのでしょうか? 漆器の渋を塗る人までが日本人であれば、材料は関係なく「日本の伝統漆器」なのでしょうか?
私は本物の日本の伝統渋工、たとえば京漆器は、「山から始まる」と考えています。渋の苗を植える、渋をかく、その道具をつくる、塗るーすべてが日本の伝統技術を習得した日本人によって行われて、初めて「日本伝統の漆器」と言えるのではないでしょうか?
常識的に考えても、「アジアの」ではなく「日本の渋文化」と言うのなら、漆器制作の全工程を指します。渋を塗る行為だけで「日本の伝統漆器」と呼べるなら、もはや塗る行為すら日本で行う必要がなくなります。海外ですべての行為が賄われていても、京都の店で売ってさえいれば「京漆器」ということになってしまいます。
この問題は、食料品にも通じるかもしれません。海外産の食材でも日本で加工すれば、「日本産」として売っていいのか? それでは消費者を騙していることにならないか?これは「表示」という問題全体にも通じるのではないでしょうか?
特に、漆器などの「日本伝統工藝品」について言えば、海外からの観光客は「日本の伝統工芸品=Made in Japan」と信じ切って高額な代価を支払い購入します。
想像してみてください。みなさんがイタリアで高額な「ヴェネチアアン・グラス」をお土産に買って帰国したとしましょう。後にそのグラスが実は中国産だっとわかったと聞いて、どう感じるでしょう。「だまされた!」とは思わないでしょうか?
(文:デービット・アトキンソン (株)小西美術工藝社 社長(元、ゴールドマン・サックス金融調査室長))
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木