(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2980)
寒くなって、(おでん)や(なべ物)が美味しい季節ですね。欠かせない食材としての『コンニャク』。実は、我々以上に世界がこのコンニャクに注目し、ヒット食材として大きな市場に拡大する可能性に向かっています。
『コンニャク』に関しては様々な話題がありますが、(米(コメ)を超える高関税率!)が何かと取り上げられ、その理由があれこれと取りざたされてきました。
1995年のWTO(世界貿易機関)・ウルグアイラウンドの(農産物)関税化がスタート当時の関税率は(従量税率):2,796円/1Kg、(従価税率)換算=1,706%の高関税率でした。
群馬県が日本のコンニャクの90%近くを生産する県で、国内コンニャク栽培農家の保護のため、『こんにゃく芋』は、関税割当制度=T/Q(Tarif Quota)の対象品目で、基準価格を超える安いコンニャク芋が輸入された場合は、セーフガードによる3,728円/1Kgの緊急関税が課され、実際に2009年、2012年には数回のセーフガードが発動されています。
「関税定率法第9条の2」、「関税暫定措置法第8条の6第3項」
「関税割当制度に関する政令第1条第1項、別表」
2015年の『こんにゃく芋』の1次税率:40%(従価税率)∔ 二次税率の2,796円/1Kg(従量税)の(従価従量税率)で、従価税率換算で、350%程度と、需要拡大による海外品コンニャク芋の価格上昇により、1995年当時から1/5程度まで実質関税率は下がっています。
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原材料である「こんにゃく芋」ではなく、製品としての「コンニャク」は自由化品目であり、海外から日本への輸入時の関税は20.3%です。
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世界的な健康志向の動きを受けて、ダイエット食品としてのコンニャク料理が注目され、コンニャク芋の国際価格も急騰していますので、我が国に輸入されるコンニャク芋の価格も上昇、国内産との価格差も縮まっています。
元々、コンニャクを食する食文化を持つ国は、日本、ミャンマー、韓国などに限定されていましたが、肥満による健康不安・医療費の増大に悩むブラジルや米国を中心として、コンニャク料理が拡大しており、イタリアでも「コンニャク・ヌードル」として、レストランでの定番メニューになりつつある。
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ここまでの(国際市場性を持つ商品)を、国内産業保護という名目で輸出への積極的なマーケティングを怠ってきた日本の農業政策は何であったのか? 国内生産のほぼ全量を占める北関東のコンニャク栽培地域には、国際市場に打って出るスキルは何も培われてはおらず、この世界的なコンニャクブームを狙った中国や韓国のコンニャク産業が大きく拡大している・・。
結局は(日本の農業)・(農地)を選挙での「票田」としてきた施策のマイナスは大きく、農産物輸出を国家産業としてとらえるオランダや、イギリス、フランス、ドイツ、米国等、他の先進経済大国なみの食料自給率に日本が追いつくには相当数の年月を費やすか、農産物を輸入し、加工食品を輸出する道の選択しか残されていないように思える。
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木