(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2780)
輸出入申告における『物品の所属区分』は、通関士試験の通関実務科目において、その申告書作成問題や分類問題において避けられぬ部門であり、受験者にとっては、「物品の所属区分など、PCにデータ入力すれば、自動区分できる内容であって、できれば、この分野での出題は避けて欲しい。」が正直な気持ちと感じています。
「輸出統計品目表」や「実行関税率表」のベースとなる【HS条約品目表】とは、一体、何なのでしょうか?
「長瀬 透 氏 (政策研究大学院大学・青山学院大学客員教授)」
ー貿易と関税・2014・09号への寄稿ー
【HSの用途】
主たる用途は、条約第3条にもあるように、課税(関税率表)及び貿易統計(統計品目表)のためであるが、その他に;
① (原産地規則)、(WTOやEPAでの関税引き下げ交渉)
② (アンチダンピング税や輸入規制)などの貿易政策の手段
③ (貿易規制物品)の特定とモニター
有害廃棄廃棄物、化学兵器、オゾン層破壊物質、ワシントン条約関連など、
④ (内国税) ※インドでは内国消費税(物品税)にHSをフルに導入。
⑤ (リスク管理)-ハイリスク貨物の特定、リスクの洗い出しなど、
⑥ (マニュフェスト=積荷目録)の24時間ルール、
⑦ (米国のISF 10+2)
⑧ (EUのTIRカルネ=通関手帳)
などでのHSの使用の順応または義務化、及び民間におけるHSに基づく貨物管理などの多くの目的に使用されている。
【HS品目分類について】
HSの4桁(類)及び6桁(項)は、国際的な貿易額等に基づき設定されている。HS品目分類業務とは、4桁および6桁の所属を決定する業務であり、
1) 各国のいろいろな諸政策の目的や内容などを反映せずに、HS体系の中での中立的・
技術的に分類を検討するという営みである。
2) 分類が決定すれば、一般的には自ずと適用税率が決まる。「初めに分類ありき」である。
3) また、HS品目分類では、国際的に統一的に適用される必要がある。
従って、「一物一分類】である。
【一物一分類の必要性】
分類が国ごとに、また国内でも税関間などで異なれば、関税率の適用に統一性・透明性が確保できない恐れがある。そのため適用税率の予測ができず、貿易取引コストの見積盛り予測が難しくなり、ビジネス計画及び投資にも影響してくる、
また、二国・地域関税交渉においても、対象品目の範囲・定義がきちっとまとまっている必要があり、国際貿易に関する輸出入統計も正確に把握することも重要である。
更に、貿易の円滑化を阻害するということで、国内でも国際的にも、「一物一分類」は必要である。
【分類の不統一の発生】
それでは、分類の不統一はなぜ発生するのか? 所詮生身の人間が解釈する、HSはすべての技術を網羅するのでおのずと複雑になり、いろいろな解釈が出てくる、新商品(含、複合商品)も絶えず登場してくるということなどが原因として挙げられる。
国によっては、政府が税収の確保や、IQ品目を自由化品目になどを狙って輸入申告や事前教示申請を行ったり、分類裁判を起こすなどのケースも見られる。
(記事出所:長瀬 透 氏ー政策研究大学院大学・客員教授 HS品目分類について)
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木