(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2727)
前号では、「申告前の臨時開庁の申請」の解釈に関して、「通関業法基本通達」の記述を取り上げています。
【(法律)と(法令)・(通達)】
通関士の受験テキストには、関税法を代表とする各法律の説明に(法)、(施行令)、(基本通達)と出てきます。この違いと仕組みはどうなっているのでしょうか?
・「
法律」=国会で議決されたものが法律です。 【関税法】
・「
施行令」=法律をより具体化するために、各省は「省令」や「施行規則」などを制定します。
【関税法施行令】
・「
基本通達」=各省長が、全国的な統一的な解釈を図るために下級機関への行政
処理の具体的運用を示すものです。
「法令」とは、一般に法律(国会が制定する法規範)と命令(行政機関が制定する法規範)を合わせて呼ぶ用語です。「命令」には、政令や省令があります。
【法令の優先関係】
「法律」>「政令」>「省令」>「施行令」>「施行規則」>「通達」
「法律」は、国会で議決された国の法規範を定めたものであり、(原則)が記述してあるに過ぎません。ましてや、
「関税法」は、関税・通関に係る法律であり、国・地域ごとに法律や商習慣などが違う輸出入に係る国際的な売買・運輸等の全般に関わる法律です。その明細の全てを法律としての関税法に網羅することはできません。
この国会議決=「関税法」の原則に従い、関係省庁の財務省が、より具体的な内容としたものが
「関税法施行令」です。
「関税法基本通達」= 関税法施行令で、関税法の明細は財務大臣が規定しますが、実際に行政(通関)を運用する各税関においての解釈の差異が生じることは許されません。
全国統一的な通関の実施を図るために、財務大臣が各税関各署に示し、具体的税関業務の運用を示すものが「関税法基本通達」です。
☆
「基本通達」は、(運用の具体的通達)ですから、上記の優先順位の通り、「法律」の原則と違うことは許されませんし、法律規範を超えて”通達に拘束されることは法令の解釈上、あり得ません”。
しかしながら、実際の現場における「通関」は、税関職員の行政処分も、通関士の通関手続きも、具体的細部はこの「基本通達」に基づいて運用されているわけであり、近年における通関士試験の出題は、法律の(概論)部分に収まらず、各法令ともに「基本通達」に記述される具体的な細かな内容に係る出題を特徴とします。
※ 受験生はこれを揶揄して、「重箱の隅をつつくような」とんでもない試験問題!
と表現し、嘆いて(吠えて)います。(笑)
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木