(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2620)
「やはり、(ジレッタ)や(ウィルキンソン)のシェーバー=カミソリは切れ味が違う・・・。(笑)
世界中で使用されるカミソリの刃としての(帯鋼)の約70%強が、日立金属・「YSSヤスキ鋼」と呼ばれる我が国の中国地方の(砂鉄)を原材料とした古代の(たたら製鉄)技術を発展させて日立金属が製造しているカミソリ用素材(帯鋼)です。特に「ヤスキ・白紙鋼」と呼ばれる鋼材は、100%中国山地の”砂鉄”を原料とする鋼材です。(ただし、昔の”かんな流し”という方法ではなく、磁石選別での砂鉄収集がとられているようです。)
かつては、(玉鋼)と呼ばれ、日本刀の材料として生産された我が国中国地方の砂鉄を原材料とする製鉄法=(たたら製鉄)が、現状なりの高度技術によって見直され、カミソリ刃用材として見事に復活しているのです。
歴史は過ぎ去り、現在の高度消費社会になりカミソリの需要が伸びるに従ってカミソリ刃(帯鋼)の消費量も増大していった。ちなみに地球上で1年間に使用されるカミソリ用の鋼だけでも約2万トンと推定されている。中でも英国の「ウィルキンソン」、アメリカの「ジレッタ」、「シック」、「ASR社」を始め、インドの「マルホトラ社」など、各国のカミソリメーカーが、日立金属・ヤスキ鋼を使用している。
かつての日本刀を造った(たたら・玉鋼)が、世界のカミソリメーカーにその品質の高さを認められ、現在では世界のカミソリメーカーへの出荷総量の約70%を(ヤスキ鋼)が占有している。
日本で生まれたカミソリ鋼が世界中に輸出され、そして(シック)、(ジレッタ)社などの完成製品として輸入されて多くの日本人が愛用している。戦後、自動車、家電などの国産品が外国製品を駆逐してきた流れからみると、この(カミソリ)のみは米国製品に市場を圧倒され、米国製のカミソリは国内市場占有率は60%を超えている。貿易統計的にも稀に見る特例製品です。
国内メーカーの(貝印)や(フェザー社)も、もちろんに「ヤスキ鋼」を使っているのですが、国内市場シェアは40%に過ぎません。
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米・アップル社の「スマートフォン」、中国で組み立てられ、我が国に輸入されていますが、中身の部材の30%以上は日本製の電子部材と言われていますから、カミソリと似たようなものかも解りません。
(Designed by Apple, Assembled in China)
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山陰・米子空港にほど近い場所に「日立金属;ヤスキ工場」はあります。大手企業としての日立金属が、中国山脈の山間地で、かつて生産されてきた(たたら製鉄)を現在の観点でもって見直すことなく、(古代の製鉄法)=(過ぎ去った地場産業)と単純に打ち捨てていたならば、世界のカミソリ刃の70%で使用される「日立金属・ヤスキYSS鋼」の誕生はなかった・・・。
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少々、極端な例かとも感じますが、「中間山間地の産業振興」、「産・官・学の産業クラスター」とは、このような観点・着眼・実行をいうのではないかと思います。
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木