(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2438)
『少額輸入貨物に対する簡易税率』:関税定率法第3条の3
従来、課税価格の合計額が10万円以下の輸入貨物(=少額輸入貨物)に対する関税については簡易税率を適用することができる。(携帯品・別送品を除き、
郵便物を含む)とされていたものが、本年度の法令改正で、
10万円以下から⇒20万円以下に拡大されたことは、前号のアップ通りです。
☆
注目すべきは、「少額簡易税率」の適用は、
”郵便物も含む”とされていることです。
(関税法第77条)
税関票符(グリーンラベル)などの審査、貨物検査において、関税を課すべき貨物である場合については、その名宛人は下記により、関税を納付する。
(関税法第77条第1項)
税関長は関税を納付すべき郵便物については、その関税の課税標準及び税額を「国際郵便物課税通知書」により、
郵便事業株式会社を経て、その郵便貨物の名宛人に通知しなければならない。
(関税法第77条第5項)
郵便貨物の名宛人が、この「国際郵便物課税通知書」により記載された関税の納付処理を行った場合は、
「賦課決定通知書」と見なされる。
☆
国際郵便物(EMS=Express Mail Service)の内、10万円以下のものについては、「少額簡易税率表」により、20%,15%,10%,5%,3%,無税の6段階とアルコール飲料の税率区分=
7種類の税利率区分で、税関による「賦課課税」の効率化を図ってきました。
問題は、少額簡易税率適用の対象とならなかった20万円以下の「特定郵便物」の
10万円を超え20万円以下の間の特定郵便物です。
「賦課課税方式」ですから、税関はその関税額を算出・確定しなければなりません。10万~20万円の間の輸入価格の物は、簡易税率の適用対象外ですから、「実行関税率表」の9,000品目にも及ぶ中から税率の所属区分を行う労力がありました。
さらには、
20万円以下の特定郵便物は(輸入申告を要しない)との規定があります。
税関職員が郵便物に貼付されたラベル、税関告知書を直接確認して(課税標準)を決定し、9,000にも及ぶ関税分類を行い、関税額を賦課決定する必要がありました。
そこで、関税定率法第3条の3の「少額簡易税率」の適用対象額を従来の10万円以下から20万円以下に拡大することにより、約9割の郵便貨物(EMS)が簡易税率の適用範に含まれることになる。
簡易税率の適用枠拡大による税関の事務処理効率化により、国際郵便物に係るセキュリティー対策の強化を図ることができる。
※
・平成25年に税関が摘発した不正薬物の53%(204件)が国際郵便物からの摘発となっている。
・国際郵便への賦課課税件数は、平成4年に約10万件であったものが、平成24年は
36万件と20年で約4倍へと大幅に増加している。
・国際郵便貨物(EMS)の約9割が20万以下で、今回の改正で、ほぼ全量おいて
”簡易税率”適用での賦課課税での効率化が期待できる。
(記事参考:財務省関税局関税課関税企画調査室長:西野氏 -平成26年度関税改正について)
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木