(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2395)
貿易立国である我が国が”貿易赤字”に転落し、2012年度は、過去最大の貿易赤字
となることが確実であることは先にアップ済みです。
今まで、我が国から商品を外国に売って(輸出)して、カネを稼いできたものが、カネ
を払って外国から買う(輸入)する方が多くなっているのが(貿易赤字)ですから、決し
っして好ましい状況とは思いませんが、貿易態様の変化と貿易統計の意味は適切に理解す
る必要があります。過去の原則的な貿易=輸出入とは、モノもカネもその流れは大きく異
なっているのです。カミたるや、無くなるのが眼前です。
日本の貿易赤字額など赤字のうちに入らない規模であるのが、米国の貿易赤字で、米国
は輸出額の2倍の輸入額がある200%の貿易赤字国です。
『iPhoneは米国の対中国貿易赤字をどのように拡大させたか』という興味ある紹介
記事を目にしました。
(外資系投信投資顧問会社・企画/営業部門勤務 金井伸郎 氏)
2009年には米国内で販売された1130万台のiPhoneについては、組み立て製造
国である中国からの輸入品として貿易統計上、20億ドルが計上されています。
しかし、これは米国の貿易赤字を過大に計上し、中国の貿易黒字を過大に計上している
可能性がある。
iPhoneの製造を請け負う台湾のメーカーは、中国では”組立加工のみ”を中国で行っ
ており、中国での組立て製造工程に支払われるコストは1台約179ドルの製品原価の
3.6%に相当する6.5ドルに過ぎない。部品はすべて、日本、ドイツ、韓国、米国
などから、無償供与されており、179ドルの製造原価のうち、172.5ドル相当が
中国に供与・輸入された部品に相当します。その中で製品原価の34%に相当する61
ドル分の日本製の電子部品であり、米国製部品も11ドル分が含まれています。
つまり、実質的には61ドル分の日本製電子部品は、日本から米国に計上されるべき
ところ、実際には日本から中国への輸出として計上されている。さらに、Iphoneの輸
出価格に含まれて、中国から米国の輸出額として計上されている。
重要な点としては、2009年には1440万台のiPhoneが米国以外で販売され、各
国での販売価格は1台500ドル相当とされていることです。この64%相当の売り上げ
マージンがアップル社の収益となり、同社の3300億ドルに及ぶ時価総額を生み出し
ています。
一方で、これらは米国の貿易収支にはまったく計上されない動きです。
このアップル社の実情を理解した上で、緊縮策を続ける我が国の大手メーカーの困窮の
嘆きに対し、冷静な見方をする必要性もあると感じます。
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木