(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (2327)
「先進国市場の延長上に新興国市場を据えてはいけない」。
もっともこのことは、すべての経営者がすでに意識していることであろう。
しかし、実際に新興国で販売されている製品には、その意識がまだ十分に反映されて
いないのかもしれない。
たとえば、新興国のエントリー層を狙った低価格車。中国やインドの地場メーカーが
50万円を切る乗用車を販売したのに対抗して、日系の大手メーカーも低価格車を投
入しようとしている。
ただしそれは、日系で開発した
既存車種をベースにしたものが多く、価格も100万円前後と割高である。
この価格帯にも市場は存在しているのであろうが、少なくともマス市場ではない。
100万円前後という価格帯は戦略的に練られた結果かもしれないが、既存車をベース
にした
「引き算」の限界点とも考えられる。
自動車はもともと各ユニットが個別に設計されており、完成車の組立てにあたっては
相互に綿密な調整が必要な
”摺り合せ型の製品”である。そうした性格の製品から、
部品や機能を間引こうとする
(引き算)と、製品不適合を起こしやすく、コストダウンにも
一定の限界が生じるのである。
これに対し、新興国メーカーの低価格車は一つの部品やユニットが単一の機能に結
びついている
”モジュラー型製品”の性格が強く、したがって50万円をきる価格の値段
が実現できていると考えられる。
既存車からの”引き算のアプローチ”では、ここまでの低価格は実現できない。
ー究極に到達している(日本製品の高品質化)=”ガラパゴス化”への日本メーカー・
技術者の(品管)に対する(誇り)と(プライド)がそれを許さない・・-
(これが、
”新興国市場に対する日本メーカーの欠点”なのである)
(記事:赤羽淳 Thinking TODAY 三菱総合研究所 経営コンサルティング本部)
ー次号ー
「自前主義を脱却せよ」-
by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木