『関税評価ーロイヤルティーの支払いに対する源泉課税漏れ』
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4303)
先月までの通関士試験に係る話題の中で、「我が国の税務署に納付する税金にもかかわらず、海外へのロイヤルティ使用料に対する対価の源泉徴収課税額は、海外ロヤルティ権利者の所得税=債務の立替金であり、課税価格に加算される。」とアップしています。
=この所得税の源泉徴収額は、関税・消費税の課税価格の決定において加算要素となる。
『トヨタに源泉徴収漏れ指摘 海外取引の「知財使用料」』
世界ラリー選手権(WRC)に参戦するラリーカーの開発などをめぐり、トヨタ自動車が名古屋国税局の税務調査を受け、海外企業などの支払った26億円について海外権利者の所得税の源泉徴収漏れを指摘されていたことがわかった。
開発を依頼した海外企業への支払いの一部が、源泉徴収義務のある「知的財産権の使用料』と認定されたもようだ。追徴課税は加算税を併せて約4億円とみられる。
☆
ここでの留意すべきことは、「トヨタは、知財の”支払い者”」であり、我が国の国税が所得税を課税するのは、「海外の知財権者」です。
『所得税の源泉徴収」とは、使用料を海外に支払う我が国の使用者が、海外支払い者に支払う使用料に係る所得税額を”海外知財権者に代わって”我が国の国税に納税するという制度です。」 海外に支払う使用料から源泉徴収される所得税額を相殺して支払うのが一般的です。
具体的には、サラリーマンの給与への所得税を、給与支払い者である会社が税務署に納税するのと一緒です。
今回のトヨタの例では、”漏れ”という表現を使っていますが、「源泉徴収」を怠っていた場合、それに係る品物の輸入時課税価格に加算すべき内容となりますので、関税・消費税の”過少申告・無申告、延滞税”につながりますし、漏れの内容によっては、重加算税の対象と成り得ます。
知的財産権の使用料をめぐっては、米アップルの子会社で日本法人の「ITunes」が、音楽・映像の配信サービスに関して所得税の源泉徴収漏れを指摘され、東京国税局に約120億円を追徴課税されたことが2016年にあきらかになっている。
国税当局は、日本から海外企業への支払いについて、日本での課税対象かどうか監視を強めている。
トヨタは2015年1月、WRCへの参戦を発表。ラリーカーのエンジン開発をドイツの子会社に、車体開発をフィンランドの会社に依頼し、約2年間にわたって開発費を支払った。
関係者によると、トヨタは両社から、開発に関する技術やデータの提供を受けており、国税局は両社への支払いのうち、約9億円はこの提供料=(対価)と認定。知的財産権使用料にあたると判断したとみられる。
ほかに、海外で定年を向かえた出向者らへの退職金の支払いや、中国の会社に支払った設備使用料などをめぐっても2015~2016年に約17億円の源泉徴収→納税漏れを指摘されたという。
(記事抜粋:朝日新聞 2017/10/13)
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木