『DRIED BONITO : KATSUOBUSHI(鰹節)ー⑤」
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4302)
【かつおの街 焼津から】
漁業の町、静岡県焼津市は日本一のカツオの水揚げ量を誇り、昔から地場産業としてかつお節の製造が盛んに行われてきました。しかし、国内消費の落ち込みや、価格が安い外国産のかつお節の増加などで生産量はピーク時と比べて3分の2程度にまで落ち込んでいて、新たな市場の開拓が重要な課題となっています。
”ヨーロッパ市場は日本の食文化をブランディングできる数少ない市場”
ヨーロッパでは、「和食」の食文化がユネスコの無形文化遺産に登録されたこともあって、農林水産省などが平成27年に行った調査では、日本食レストランは1万店余りと、2年間でおよそ2倍に増えました。
ダシを使った「UMAMI(旨味)」が注目され、和食の人気の高まりと共に、ダシをとるのに欠かせないかつお節の需要も高まっています。
【EUへの輸出は難しい】
ここで問題になったのが、日本からEUへかつお節を輸出できるようにするための高いハードルをクリアすることでした。EUが定める国際的な食品衛生管理システム「HACCP(ハサップ)」と呼ばれる認定を受ける必要があるのです。
現状までは、この基準に適合する工場がないとして、日本産のかつお節はEUは輸出ができない状況でした。
「HACCP」は、アメリカのNASA(アメリカ航空宇宙局)が開発した食品安全基準ですが、、この中でもEU向けの基準は世界で最も厳しいと言われています。
水産会社では、洗浄を初め、製造から出荷のすべての過程でこの基準を満たすよう、製造工程を組み替えるなど、工場の改修を進めてきました。基準を満たす必要があるのは工場だけではありません。EU向けの基準では、船や港にもそれぞれ衛生管理に適合するよう整備されました。
【悲願のEU輸出へ】
EU基準に合わせた認定の申請からおよそ2年が過ぎた今年の2月15日、ようやくEU(欧州連合)への輸出が可能な生産施設と認められました。農林水産省で交付式が行われ、水産庁流通課長から「新丸正の久野社長に、全国で初めて、かつお節の工場として「EU-ACCP」の認定書が手渡されました。
また、久野社長は今回の認定にあたって、工場の名称の英訳について、一般的な英訳である「DRIED BONITO」ではなく「KATSUOBUSHI」と表記しました。かつお節が日本発祥の食材だということを伝えたいという想いを込めたのです。
かつお節のEU市場を巡っては、韓国産や中国産などの海外産が多く流通していますが、鹿児島県枕崎市の水産加工組合などが去年、フランスにカツオ節工場を開設するなど、和食の人気が高まるヨーロッパの需要に応えようという動きが広がっています。
今回、国内のかつお節工場がEUへの輸出に必要な認定を受けたことで、国内からの本格的な輸出に弾みがつくと期待されます。
(記事参考:加藤慎平 氏 NHK静岡局記者・NHK NEWSWEB 2017/10/13)
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