『DRIED BONITO : KATSUOBUSHI(鰹節)-②』
(貿易ともだち)さん、みんな(がんばるチャン!)してるかな? (4299)
「2年前のミラノ万博での”カツオ節事件”」を知って、何を感じるだろうか?
EU規制に従って、「カツオ節って、危険だったんだ!」と素直に思う人。「伝統的和食の食材を危険視するEUはケシカラン!と思う人」、「EU市場への和食拡大を妨害しようとする人々の圧力」・・、読取る人の捉え方によって、様々でしょう~。
いうまでもなく、カツオ節そのものは自然界の材料から作られたものだ。カツオはもちろんカビ菌も、いぶす煙の元の木材も自然物である。
自然なんだから安全なはずという思いを持つ人もいるだろうが、実は自然界で作り出される毒物は意外と多い。フグ毒や毒キノコなどの毒物だって自然界で作り出されるものである。また無農薬栽培では、野菜そのものが天然性農薬様物質を生成するという研究結果も発表されている。それで我が身を齧る虫を追い払うというものだ。
とは言え、EUの主張するように本当にカツオ節が危険食品かどうか?。本来はその毒性と摂取量のバランスを考えて論理的に判断すべきなのだが・・。
日本政府は、ミラノ万博で使用する分に限って持ち込みを認めて欲しいと働きかけた。安全税に問題がない点を説明した上で、万博会場以外で展示・提供はしないからと”万博特例措置”として国産カツオ節の持ち込みを認めるよう働きかけた。
しかし、これだって、厳密には変だ。安全だといいつつ、規制そのものの撤廃を主張するわけではないのである。
ところで、フランスの大西洋沿岸のブルタニュー地方のコンカルノーにカツオ節工場を建てる計画が進行し、昨年の9月2日に始動した。鹿児島県枕崎市の枕崎水産加工協同組合などが出資して建設された。原料のカツオはインド洋で調達し、技術指導も日本が指導して製造するという。
つまり政府のおよび腰に、その生き残りのために民間がしびれを切らして、海外進出を決めたのである。ある意味、これも日本の「産業の空洞化=”食の空洞化”」と言えるかもしれない。そのうち、”和食”の素材は全部海外調達となるのであろうか・・?
(記事抜粋:田中敦夫 氏 森林ジャーナリスト)
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ミラノ万博への我が国参加構成メンバーとして、農林水産省、経済産業省、国土交通省の幹事省に加え、JETRO(日本貿易振興機構)も参加している。公益財団法人として、”関税法規定”は十二分に理解し、「国際見本市会場としての保税地域規定」の中身は習熟していたはずである。日本政府全体としてのイタリアに対する交渉の”横の連絡協議”はなかったのであろうか・・。この問題に関しても、我が国の”官僚体制・縦割り行政”の弊害を強く感じる一面でした。
と言うよりも、現状~今後において、「関税法第70j条 他法令の証明。確認」でこれらを運用していくことは、すでに無理な時点に達しているのではないでしょうか?米国の「国土安全保障省」のような、貿易・海外に係る部署を一元化した独立省庁の創設の必要性が迫られているようにも感じます。財務省、農林水産省、国土交通省・・この既得権保持と体制保持の縦割り行政の再構築のない限り、同様な問題を再び引き起こすような気がしてなりません・・。
blog up by Gewerbe 「貿易ともだち」 K・佐々木